書評

書籍「考えない練習」評価:★★★★★

書籍「考えない練習」 著者:小池龍之介 出版:小学館

まずタイトルからしてとっつきにくい人もいらっしゃるかもしれないので、説明をします。タイトルで「考えない」とありますが、これは全く考えないのではなく、「過去の失敗、将来の不安とか焦りとか余計な雑念を考えない」という意味です。
そして、そういったことを考えずに頭の中から一掃して、余った時間を考えるべきことに充てて、成長していこうという趣旨の本です。

私自身メンタル面の向上に興味があるので、その手の本はいくつか読んでいますが、これが一番わかりやすいと感じました。
著者がお寺の副住職(書籍出版時の役職)ということもあり、大変説明が分かりやすいです。

最近では、ストレスを軽減するために、嫌な過去、先行き不安な未来を考える時間を減らし、座禅をして「今この瞬間」に集中することがよく行われています。
最近は「マインドフルネス」という名称で広まっているようです。
当書籍が出版されたときは「マインドフルネス」という言葉は普及していなかったので、その言葉自体は登場してきませんが、概念としては同じです。
いわば「マインドフルネス」の先駆けてきな存在の本といってもいいでしょう。

仏教としては昔からそういった概念は存在していたようですが、書籍として一般の人にも受けるように書かれている書籍としてはこれが一番かなと思っています。

基本的には余計な雑念を振り払うためにはどうすれば良いかということが書かれているのですが、第1章では雑念を振り払わないとどうなってしまうのか?ということがかなり説得力のある文として書かれています。私はかなりギョッ!としていしまいました。
一部を紹介すると以下です。
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一秒のあいだ人の話を聞いていても、そのうち0.1秒は聞いていても残りの、0.9秒は「相手がどう思っているか」という思考や、過去のノイズが残響していて、五感が鈍り、ぼんやりとしているのです。これを続けますと10秒のうち9秒は実感が消え、60分のうち54分は実感が抜け落ち・・・
(中略)
そしてノイズのほうが現実感覚に完全に勝利した時、人は呆けるのだと思います。
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私はこれを読んだとき、自分はどれだけ過去の失敗のことを思い出しては悔やんでいる時間に費やしているのだろう。と思いました。
ふと気づいたら、怖い上司にめちゃくちゃ怒られたこと、職場の先輩に尋問の様に問い詰められたことなど思い出していました。
(まぁ自分もミスしているから怒られているのですが、反芻して落ち込むのはやっぱり体の毒です。いや心の毒。)

しかも、思い返してみるとそういった過去のことを悔やんでいる時は、大変ケアレスミスが多かったのです。家の明かりを消さずに外出してしまったとか、頼まれた用事を忘れてしまっただとか、もう数えきれないほどミスをしています。

この雑念を考えてしまう習慣。実はまだ完全には治っていないのですが、この本を読むことで少しずつ改善はしてきていると思います。
(※雑念を完全に振り払えたらもう、悟りの境地になっちゃいますけどね。)

この本を読まなかったら今頃どうなっていたことやら。。。

皆さんも、もし、最近ミスが多く、たまに過去のトラウマ思い出しちゃうと思う方は読んでみてください。

1時間のうち54分を嫌な人のことで埋め尽くさないようにして、1分でも2分でも、必要なこと、楽しいことを考えるようにしていきましょう!

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